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賃貸管理の法改正は何が変わる?最新情報と実務対応ポイントをご紹介

日々是賃貸管理

賃貸管理業務は、近年めまぐるしく変化する法制度への対応が重要となっています。特に「住宅セーフティネット法」や「区分所有法」、さらに「不動産登記法」といった法律の改正が続き、これまで以上に管理会社の役割や業務のあり方が問われています。法律改正に適切に対応しなければ、思わぬトラブルや業務の遅れを招くこともあります。本記事では、今後施行される最新の法改正の内容と、賃貸管理業務へ与える影響について詳しく解説します。法改正の内容と実務のポイントを押さえ、将来に備えた円滑な賃貸管理に役立てましょう。


住宅セーフティネット法の改正と賃貸管理への影響(2025年10月施行)

2025年10月1日から施行される住宅セーフティネット法の改正では、高齢者・障がい者・低所得者などの住宅確保要配慮者が安心して賃貸住宅に入居できるよう、オーナー側の不安を軽減する制度が新たに整備されます。具体的には、見守り支援を伴う「居住サポート住宅」の創設と保証制度の強化、さらには地域福祉との連携強化が柱となっています。これにより、賃貸管理会社としては、要配慮者対応をした新たな仕組みを理解し、オーナーさまへ制度内容を丁寧にご案内することが求められます。例えば、見守り機能のある住宅への対応体制整備や、保証サービスの活用方法を提案できると、オーナーさまの安心感につながります。

制度項目内容賃貸管理の対応ポイント
居住サポート住宅見守りや支援体制を備えた住宅入居者支援体制の構築とオーナーへの説明
保証制度の強化家賃滞納時のリスク軽減保証内容の把握と活用提案
地域福祉との連携地域の福祉機関などとの協業促進連携先ネットワークの構築と紹介

改正の背景には、単身高齢者の急増と空き家の増加という社会課題があり、入居後の見守り不足や入居リスクがオーナーの受け入れの障壁になっていました。この改正により、入居支援の仕組みを賃貸管理業務に組み込むことで、要配慮者の受け入れが促進される一方で、オーナーさまへの安心提供が可能になります。賃貸管理業者として、見守り機能のある住宅運営や福祉との連携体制を整えることが、今後の差別化のポイントになるでしょう。

2026年4月施行の区分所有法改正による管理組合理事会等への影響

2026年4月1日より、約23年ぶりとなる大規模な「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」の改正が施行されます。この改正は、老朽化マンションの増加や区分所有者の高齢化、管理組合の担い手不足など、現場が直面する課題に対応するための制度見直しです。

項目変更内容賃貸管理会社の対応
総会・決議の電子化と緩和出席者多数の原則へ変更。欠席=反対ではなく、実際に出席した所有者の意思で決議可能。規約との整合性を点検・必要な修正を総会で実施。
所在不明所有者の扱い所在不明区分所有者を議決母数から除外できる制度導入。所在確認の対応と除外手続きを整備。
DX推進電子開催やオンライン決議の導入で手続きの柔軟化。総会の開催体制や通知方法の見直し。

まず、従来は総会に出席しない区分所有者も「反対」とみなされることが多く、意思決定が滞る要因となっていました。しかし改正後は「出席者多数の原則」が導入され、実際に出席した所有者の意思に基づいて決議が可能になります。

また、所在が確認できない区分所有者については、一定の条件の下で議決の母数から除外する仕組みが導入されます。従来、所在不明者がいることで議決権の成立が困難になるケースがありましたが、この改正により課題の軽減が期待されます。

さらに、電子総会やオンライン決議といったDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進が進展し、管理組合や理事会の運営が効率化される流れです。デジタル技術を活用した運営基盤の整備が不可欠となります。

これらの改正により、マンション運営の迅速化や再生の円滑化が促進される一方で、現行の管理規約と改正法との間に整合性があるかどうかの確認が重要です。賃貸管理会社としては、管理規約の全面点検を行い、必要に応じた修正決議を総会にかけること、総会のデジタル化・オンライン対応の体制を整備すること、所在不明所有者への対応フローをあらかじめ策定することが求められます。

不動産登記法改正による名義変更の義務化と賃貸管理への対応

2026年4月1日から、不動産登記法の改正により、不動産の所有者(個人・法人を含む)は、住所や氏名(法人の場合は名称や本店所在地)に変更があった際、変更日から2年以内に登記の申請を行うことが法律で義務付けられます。これは、これまで任意だった住所・氏名変更登記を義務化するものです。

さらに、施行日前の住所や氏名の変更に関しても対象となり、2026年4月1日時点で未登記だった場合は、猶予期間として2028年3月31日までに登記を行わなければなりません。

また、正当な理由なく期日内に変更登記を怠った場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。登記官が催告を行ったうえで、それでも手続きを怠ると過料が適用される場合があります。

管理会社としては、オーナーの住所・氏名情報を常に最新の状態に保つことが重要です。住所や氏名に変更があった際には、登記簿の確認を促すとともに、変更登記を適切に案内することで、オーナーの法的リスクを軽減し、信頼関係を築くことにつながります。

項目 内容
義務化開始 2026年4月1日から
登記期限 変更日から2年以内
過去の変更登記期限 2028年3月31日まで

関連制度・税制改正など賃貸管理に関係する他の法改正動向

近年、賃貸管理業務に影響を及ぼす関連制度や税制の改正が相次いでいます。特に省エネ法の改正や相続税評価に関する「5年ルール」の導入などは、管理会社としても注目すべき重要なポイントです。

制度・改正内容賃貸管理への影響
建築物省エネ法(2025年4月施行)新築全ての住宅・非住宅で省エネ基準の適合が義務に省エネ性能の確認や広告時の表示対応が必要
省エネ性能表示制度(2024年4月より努力義務)賃貸物件情報への省エネ性能の表示が求められる管理会社が情報を整理し、表示資料を準備する必要あり
令和8年度税制改正「5年ルール」相続開始前5年以内に取得した賃貸不動産は時価評価へ節税効果が薄れ、オーナーへの助言・対応が重要に

まず、省エネ法の改正により、2025年4月以降に着工する新築住宅や非住宅はすべて、省エネ基準への適合が義務化されます。この基準には、外皮性能や一次エネルギー消費の削減が含まれ、管理会社は新築や改築の段階でこれらの確認を怠らないことが求められます。さらに、建築確認申請時にも省エネ基準の適合審査が行われるようになりますので、管理契約前のチェックも重要になります。物件を広告する際には、省エネ性能を表示する制度も2024年4月から「努力義務」として開始されており、管理会社が物件情報に省エネ性能を整理・掲示する準備を進めることが賢明です。これらの動きは、今後さらに義務化が進む見込みで、管理業務の中で制度対応力が差となる可能性があります。

次に、税制面では令和8年度(2026年度)税制改正の大綱に「相続税評価の適正化」が盛り込まれ、いわゆる「5年ルール」が導入されました。具体的には、相続開始前5年以内に取得された貸付用不動産は、従来の固定資産税評価額ではなく、原則「通常の取引価格(時価)」で評価されることになります。このため、相続税の節税を目的とした直前取得は効果が大幅に低下します。また、不動産小口化商品については取得時期にかかわらず、すべて時価評価の対象となる点も注意が必要です。管理会社としては、こうした税制リスクを踏まえ、オーナーに長期的視野での賃貸経営や適切な資産継承のアドバイスを行うことが、信頼関係構築につながります。

このように、省エネ関連制度や税制改正は、賃貸管理業務におけるコンプライアンスや情報提供のあり方に大きな影響を与えています。管理会社としては、最新の法改正動向を正確に把握し、オーナー様への情報提供や物件運営のアドバイスに活かすことが、他社との差別化や信頼獲得につながる重要な要素となります。

まとめ

今回ご紹介した賃貸管理に関する法改正の最新動向は、今後の業務運営に大きな影響を与えるものです。住宅セーフティネット法、区分所有法、不動産登記法それぞれの改正は、賃貸物件の管理体制や契約手続き、情報管理方法に新たな対応が求められる内容となっています。さらに、省エネ法や税制など幅広い領域での法整備も進んでおり、常に最新の情報を把握することが重要です。時代の変化に柔軟に対応し、日々の業務改善に役立てていきましょう。

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